【インタビュー】HMI先端技術R&D責任者・楊が語る、APECに見るパワーエレクトロニクスの最前線
2026年3月27日
Q1:長年にわたりHMIの代表として、世界的なパワーエレクトロニクス分野の重要イベントであるAPECにご参加されていますが、今年特に印象的だったポイントは何でしょうか?また、なぜ本イベントは継続的に世界中のトップ企業を惹きつけているのでしょうか?
A:今年の最大の注目点は、「AIとパワーエレクトロニクスの相互シナジー」です。具体的には、「Power for AI(AI計算を支える電源)」と「AI for Power Electronics(AIを活用した電源設計の最適化)」の融合です。前者は、計算負荷の高いAI用途における電力需要への対応を目的とし、高密度電源ソリューションの革新を促進します。一方、後者はAIアルゴリズムを活用することで電源効率を向上させ、開発サイクルを加速させるものであり、設計の在り方そのものを再定義しています。
APECの魅力は、常に業界の転換点を捉え続けている点にあります。初期のPCやサーバーからスマートフォン、そして現在のAIコンピューティング、スマートカー、ロボティクスに至るまで、最先端技術・顧客・エコシステムが集結する場となっています。
Q2:HMIは長年APECに参加されていますが、継続的に参加される理由と、グローバルなパワーエレクトロニクスサプライチェーンにおけるAPECの役割についてどのようにお考えですか?
A:主に2つの理由があります。第一に「トレンド把握」です。APECの展示やフォーラムを通じて、世界最先端の電源ソリューションを把握し、技術交流を通じて自社の技術進化を促進できます。第二に「エコシステムの拡張」です。業界関係者やサプライチェーンの上下流企業とつながり、戦略的な協業を推進することで、技術基盤を強化できます。
APECは業界標準のインキュベーターであり、グローバルな協業のハブとして機能しており、まさにパワーエレクトロニクス業界の「ハブ」かつ指標的存在と言えます。
Q3:今年の出展企業や技術展示において、これまでと比べてどのような変化が見られましたか?また、それはどのような業界トレンドを示していますか?
A:最も顕著な変化は、「従来のボードレベル電源」から「チップ/パッケージレベルのアーキテクチャ」および「システム全体での高電圧化」への移行です。例えばAIサーバー分野では、従来のLateral Power Delivery(LPD)の限界を打破するため、Vertical Power Delivery(VPD)アーキテクチャの検討が進んでいます。
また、分配レベルでは、AI計算に伴うラック単位の超高電力(例:0.5MWを超えるシステム)に対応するため、データセンターでは800V DCバス構成への移行が進んでいます。これにより電流値の低減、PCBやケーブルにおける銅使用量の削減、さらには全体効率の向上が実現されます。
これらの変化は、高電力密度化、チップ統合の高度化、システム損失の最小化といった方向への業界全体のシフトを示しています。
Q4:今回の展示や技術発表を踏まえ、現在のパワーエレクトロニクス業界を形作る重要なトレンドを3つ挙げていただけますか?
A:第一に「Power for AI(計算電力供給の革新)」です。AIサーバー向けxPUにおけるVPDが中心であり、GPU消費電力の増大により従来のLPDは熱的限界に直面しています。そのため、FIVRや3D積層などへの移行が進んでいます。
第二に「AI for Power Electronics(設計革新)」です。機械学習やデジタルツインを活用した設計手法により、高周波損失予測や信頼性向上が実現され、従来の経験則に基づく設計を大きく変えつつあります。
第三に「800V DCアーキテクチャとSiC/GaNの進展」です。データセンターやEVにおける高電圧化に伴い、これらのデバイスが重要な役割を担っています。
Q5:これらの中で、特に予想以上に需要が拡大している分野はどこでしょうか?またその背景は何でしょうか?
A:「超大電流環境下における小型化と熱設計」です。背景には大規模言語モデル(LLM)向け計算需要の急増があります。xPUの消費電力増加に加え、電流応答性能への要求も高まり、VRMのチップ内統合が進んでいます。これにより電力供給経路が短縮され、効率と放熱のバランスが最適化されます。
Q6:こうしたトレンドに対し、HMIはどのような戦略で取り組んでいますか?
A:AI計算の拡大による電力課題を見据え、当社は数年前からVPDに注力してきました。LPDの限界を打破するため、国際的な大学と連携し、次世代電源アーキテクチャの開発を進めています。
Q7:具体的に、先行投資が現在評価されている技術の例はありますか?
A:代表例として、Princeton大学との共同特許(US12224665B2)が挙げられます。48Vから1V未満への高効率変換を実現するため、二段構成の電力変換アーキテクチャを提案しました。これにより高電圧・大電流環境においても高効率化が可能となります。
この技術は今回のAPECでも高く評価されており、当社は「Power for AI」分野において先行的な技術基盤を有しています。
Q8:最後に、APECにおけるHMIの目標と今後の展望を一言でお願いします。
A:当社の目標は、グローバルな技術対話を通じて技術力を高め、AI時代の電源技術を支える中核的存在となることです。今後は「Power for AI」と「AI for Power Electronics」を軸に、より高度で持続可能な電源技術の実現を目指していきます。

HMI について:
HMIは2012年に設立され、電源コントロールIC分野における革新的なリーディングカンパニーです。
先行メーカーなどで実績を積んだ業界経験者を中心に創業され、電源技術の進化に情熱を注いできました。
シリコンバレーに本社を構え、米国、韓国、日本など世界各地にR&D拠点を展開。多様な人材とグローバルな視点を活かし、高品質かつ独創的なソリューションを提供しています。
スピード、柔軟性、品質を重視し、アイデアを確実に製品へと具現化する実行力がHMIの強みです。
電源コントロールICのイノベーターとして、今後もお客様の期待を超える価値を創出し続けます。
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